友達は選択!
自分が仲間から受け入れられていると思うかという問いに、思春期の子どもたちがどう答えたかという調査があります。平均的に受け入れられていると感じている子どもが55%、人気があると思うという子が15%、無視されているという子が15%、拒絶されているという子どもが15%という結果です。つまり、この中の無視されているグループと拒絶されているというグループを合わせた、約30%の子どもたちが、友達関係がうまくいっていないと感じているということになります。
友達が一人か二人いるだけで、人生で起こる様々なストレスフルな出来事から身を守ることができると言われています。思春期以降の若者が、何か不安になることが起こった時には誰に相談するかと問われたら、「友達」と答えることが多いでしょう。もちろん家族も力になってくれますが、成長と共に家族以外の人間関係から私たちは支えられます。そうなっていくことで、家族を基盤にしながらも自立への力をつけていくことができるのです。
友達関係が持てないことで不安が強くなるのは、当然です。この自立へのプロセスに困難を抱えることになってしまうからです。「友達は別に欲しいと思わないよ」「オンラインゲームでたくさんの友達とつながっているから困らない」と言っている子どもは、本当にそう感じているのでしょうか。もしかしたら友達とつながる楽しさをあまり体験できていないのかもしれないし、うまくいかない体験が積み重なって避けたい気持ちが強くなっているのかもしれません。
私たちは、みんなと友達になる必要はないし、みんなが自分と友達になる必要もありません。PEERSでは、自分に合った友達を見つける、つまり「友達は選択」ということを大事なバズワードの一つにしています。このバズワードを伝えたら、ある中学生が「みんな全員と仲良くという綺麗ごとでなく、現実的な具体的なことを教えてもらえて助かった。小学校までは、みんな仲良くと言われると、無理だなあと感じながらも、そうあるべきだと思っていた。選択していいと教えてもらえると、もっと自由にできる」と先生に伝えたようです。この生徒さんに限らず、友達は選択というバズワードに驚く子どもは少なくありません。どの子も、一緒に過ごして楽しいと感じられる、自分に合った友達を見つけられるといいなあと願っています。