青年版ピアーズ:ソーシャルコーチの立場から
<今年度初めて実施した青年版ピアーズに参加された保護者からのご報告です>
息子はもうすぐ26歳になる今年、青年版のセッションの実践が始まり、親子でPEERSに参加しました。思い返すと、中学校の卒業式、みんなが記念写真を取り合う中を、親子でさっと帰宅したこと。また入学した高校で不登校になり、相談するために向かった学校で、文化祭の準備を楽しそうにする学生さんたちの姿が眩し過ぎて涙が出たことなど、長い道のりがありました。そして、何年も愛犬とゲームが友達だった息子に、ようやくピアーズに参加する機会がやってきました。
実は息子はピアーズの参加することに、最初はそれほど乗り気でありませんでした。「ピアーズ行った日は、帰りに外食して帰ろう」と持ちかけ、それならと応じてくれたのです。動機は少し不純でしたが、ようやく参加する気になった息子とのピアーズが、そうして始まりました。
最初の頃は、ピアーズが終わると疲れるようで、親子で取り組む宿題もなかなか取り組んでくれず、四苦八苦しました。そんな時、保護者セッションで他の保護者の方々の試行錯誤された宿題の報告がとても参考になりました。復習をなかなかしてくれなくて、穴埋め問題を作った・親が一人で二役して会話に入る練習をした・友達になれるかもしれない人と出会う場がなかなか見つからなくて、親が発起人になって同好会を作ったなど、想像を超える工夫と努力で、宿題に親子で取り組まれる保護者の方々の報告。愛情も熱意も切実さもたくさん感じる報告の数々。メモして帰り、できそうなところを取り入れました。回を重ねる毎に、保護者セッションでは、他の保護者の方やそのお子さんの奮闘ぶりに、喜んだり笑い合ったり、時に一緒に考えながらリーダーの先生はどの発言も温かく受け止めた上で、前に進むためのアドバイスをくださり、ピアーズに行くと元気になりました。
セッション中の我が子の様子は、見ることはできないのですが、最後に保護者と子どもの合流タイムがあり、そのときの雰囲気で変化を感じることができました。最初の頃は、少し固い感じで座っていた息子も、考えていることを発言するようになり、他のお子さんたちも次々に手を挙げて答えられるようになってきて、ピアーズの場が安心できるものになっていることがわかりました。
ピアーズの帰りに続けていた外食ですが、半分を過ぎるあたりから、会話も弾み、次の宿題の相談をしたり、友達の話も親にもしたりするようになりました。その中で、相手に質問する・共通の興味など、ピアーズで習ったバズワードを意識した会話が自然にできるようになってきて、親子関係も穏やかになってきました。
さらに、自分の興味とも向き合うことができたようで、ここ10年「なりたいものはない。わからない」と言ってきた息子が、将来の夢を語り、夢に向かって実際に勉強を始め、同じ興味を持つ仲間とも自分からも誘って遊ぶようにもなったのは驚きでした。ピアーズに参加したことが、人生のターニングポイントになったと思います。
今思うと、不登校で息子が悩んでいるとき、親の自分の方が辛いオーラ全開で、プレッシャーもかけていました。そんな親の姿や気持ちを感じ取った息子は、とてもしんどかっただろうと思います。ピアーズでは、保護者としてどうあるべきかも学ぶことができました。子どもとの関わり方、子どもへの力の付け方は、1回や2回のレッスンではとても身に付かなかったでしょう。トータルで16回のセッションで学び、宿題に取り組むことを繰り返しながら取り組んだことで、スキルの習得だけではなく、今後の関わり方、思考の持ち方などを考える機会となりました。その結果、保護者がソーシャルコーチとしてやっていくだけのスキルと自信にもつながっていると感じています。
これからも色々なことがあると思います。そんな時、ピアーズで頂いた資料を見返し、ピアーズだったらどうするかな、どんなアドバイスいただくかなと振り返りながら、ソーシャルコーチとして、子どもを見守っていきたいと思います。