なぜPEERSは子どもを変えるのか?
1. 友達作りは科学!
UCLAでは、友達作りのスキルは科学であると捉えて、ソーシャルスキルを具体的なルールと社会的な行動のステップにすることで、数学や科学のように教えることができると考えています。また、1人か2人でも親しい友達がいることによって、人生におけるストレスの影響が緩和されると言われています。そこでPEERSでは、友達作りやその関係を維持していくために必要なスキルに焦点を当て、思春期以降の社会適応をサポートすることを目指しています。
2. エビデンスがある!
アメリカ国内はもちろん、世界各国、そして日本でも、PEERSの効果検証研究が数多く行われてきています。それらの結果から、プログラムを受けることで、子どもたちに社会性やコミュニケーション力が育つことが明らかになっています。またASDの人が抱えがちなこだわりや強い不安傾向が、プログラムを受ける前と比べて、終了後には有意に下がっていることがわかっています。
3. 生態学的に有効なソーシャルスキル!
PEERSでは、社会的な場面でうまくやっている思春期の子どもたちが自然に使っている社会的な振る舞いを、具体的なステップやルールにしています。言い換えると、大人がこうすべきであると思っていることを一方的に教えるのではなく、実際の場面でうまくいく方法を伝えているのです。その上で、学んだスキルを使うかどうかは、その子ども次第だと考えています。思春期の子どもたちは、自分が納得できなければ使おうとはしません。セッションでソクラテス式問答法を取り入れることで、なぜそのスキルが有効なのかを話し合いながら、友達とうまくやっていくために自ら使いたいと思えるようにサポートします。
4. 自己理解と他者理解が深まる!
PEERSでは、ロールプレイ/行動リハーサル/アクティビティなどを通して、新しいスキルを練習します。実はその過程で、自分の行動に目を向け、他者の視点にも気づくことができるような仕組みがあります。というのも、スキルはその使い方だけを学んでも、自分にそのスキルを使う必要性があることや、いつそれを使えば良いのかが分からなければ使えないのです。自分はできているから大丈夫だと勘違いしたり、必要なタイミングが分からず使えなかったりします。スキルを身につけるプロセスでは、自分のことを見つめ直し、他者の思いにも目を向けることが必要です。つまり、PEERSのトレーニングを受けることで、自己理解と他者理解が深まることにつながり、自分を大事に思う自尊感情も育っていくことを実感しています。プログラムの卒業式で、参加者の誇らしげな表情を見るたびに、いつも感動しながらエールを送っているスタッフです。